Afrika Korpsは北アフリカ戦線を再現したPanzer Corpsの拡張キャンペーンです。これまでユーザーからのリクエストに応じて、ヨーロッパ戦域での戦いをより深く掘り下げたグランドキャンペーン、今回紹介するAfrika Korps、そして連合軍のキャンペーンであるAllied Corpsをリリースしています。Afrika KorpsはPC版ではスタンドアローンですが、iPad版はアドオン扱いなのでPanzer Corps本体が必要となります。
機甲軍団デザートスペシャル
400以上もの既存ユニットに加え、火炎放射型のIII号戦車や、グライダーなどを含む新しいユニットが20体追加されています。既存ユニットのCGも全て砂漠塗装に変更され、三号戦車の増加装甲なども再現されていたりします。北アフリカ戦線といえば地雷の存在も欠かせませんが、これは整合性を保つために装甲ユニット扱いになっていました。ユニットだけではなく、天候や地形などの要素も砂漠仕様になっており、コストに見合う手の込んだカスタマイズがなされていると感じます。
AIもシリーズを重ねる毎に改善されています。敵ユニットは単に都市を保持するだけではなく、状況によって行動を起こします。包囲陣形の隙を突いたり、制圧される前にユニットの側面を守ったり、よりよい見込みがある場合には別の部隊に加勢したりもするようです。
24の分岐するシナリオは、可能性という枠を越えた戦闘を含んでいます。トブルク包囲戦から始まるドイツの北アフリカ参戦ですが、イギリス軍からの3回もの反撃作戦を凌いだ後、ガザラの戦いにてようやくトブルクを陥落します。史実通りならば次はエル・アラメインとなりますが、前哨戦となるアラム・ハルファの戦いの結果によっては、スエズ運河を越えてアジア方面へと侵攻します。ソ連占領下のイランを解放し、最終的にはインドまで到達するという長行程の侵攻ルートとなるようです。
動的なシナリオイベント
完全勝利のターン制限は、デフォルトのキャンペーンに比べるとだいぶ緩くなっています。その代わり戦闘中にイベントが発生するようになりました。キャンペーン最初のシナリオ「強行偵察(Reconnaissance in Force)」での最初の指令は、イタリア軍の支援です。イギリス軍の増援を阻止すべく、北のベンガジ港を制圧しなければなりません。
"Generalleutnant, our intelligence reports are showing the British are overextend. We could disregard our orders and capture all of Cyrenaica!"
しばらくするとイギリス軍の増援を発見したとの報告が入ります。命令を無視してただちにキレナイカ (マップ右方のリビア東部)の制圧に向かうよう促されます。
"Tobruk is Heavily fortified. We should cut it off from rest of the British forces and surround it for now."
しかしすぐにトブルクの要塞化された防御陣に行く手を阻まれてしまいす。ここでトブルクを包囲し孤立させるよう命じられます。実際かなり厳しい布陣なので、手を出さずに迂回した方が良いでしょう。こうしてイギリス軍とのトブルク争奪をかけた熾烈な攻防戦が始まります。
こうしたイベントは突発的に起こるので完全勝利の妨げになりかねませんが、実際にプレイしてみると違和感が少なく素直に面白い要素だと感じました。変化する状況によって目的も変わるというのはごく自然な話ですしね。ちなみにこれらのイベントはロンメルが体験した事実に基づいているという話です。
開発チームとユーザーコミュニティの結実
完成度の高かったPanzer Generalのシステムをより成熟させて登場したPanzer Corpsですが、その精密なグラフィックや、ハードだが計算された難易度は多くのファンを獲得し、ユーザーシナリオの配布やディスカッションも盛んです。Grand Campainから始まる一連の追加コンテンツは、メーカーとユーザーのコミュニティから発生した1つの到達点と言えるのではないでしょうか。次にリーリースを控えている拡張キャンペーンSoviet Corpsや、Panzer Corpsの発展型と噂される次回作も楽しみです。
iPad版は先日のアップデートでいくつかの不具合がフィックスされましたが、Steam版のリリースが重なったこともあって、戦闘詳細ウィンドウなどの手間のかかる修正は残念ながら見送られてしまいました。私は気軽に遊べるという魅力に惹かれてiPad版を購入しましたが、完全に最適化されるのはもう少しかかりそうなのでご注意ください。シナリオエディタなどを活用してさらにディープに遊びたいのならPC版が良いでしょう。
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